爪水虫

爪の水虫はつらい。
大切な人にうつすのは、もっとつらい。

爪水虫Q&AQ&A

爪に関する代表的な質問に、仲先生がズバリ答えてくださいました。
爪の水虫の予防や治療、爪の健康管理などにお役立てください。

爪は1カ月にどのくらい伸びるのですか?

手の爪と足の爪では伸びる速度が異なります。
手の爪は1日0.1mm、1カ月に約3mm伸びるのに対して、
足の爪は1日0.05mm、1カ月に約1.5mm伸びると言われています。
ただし、これはあくまで平均であって個人差があります。
また、年齢や季節などによっても爪の伸びる速度は変わります。
一般に冬よりも夏のほうが早く伸び、大人よりも子どものほうが早く伸びます。

理想的な爪とは、どんな爪でしょうか?

美しい爪のたとえとして、「さくら貝のような爪」という言葉があります。
さくら貝は薄いピンク色ですが、爪がさくら貝のような色に見えるのは、爪の下の血管が透けて見えるからです。
薄くて、なおかつ硬い爪、これが理想的な爪です。

年齢とともに爪に縦のスジが増えてきたのですが、病気でしょうか?

爪に細い縦の線が走るのは老化現象の一つです。
年をとると皮膚にシワができますが、これと同じような現象です。
この線は40代から現れてきますが、年をとるにつれて線が増えていきます。

爪の写真で症状と病気を確認
爪はカルシウムでできているのですか?

爪は硬いためか、骨や歯と同じようにカルシウムでできていると思っている方が少なくありません。
爪は皮膚の表面を覆っている角質が硬く変化したもので、いわば皮膚の一部です。
皮膚や髪の毛と同じケラチンというタンパク質からできています。
皮膚は「軟ケラチン」からできているのに対して、爪や髪の毛は「硬ケラチン」でできているため、硬さが異なります。

足の小指の爪が全く伸びないのですが、病気でしょうか?

足の爪は手の爪に比べて伸びる速度が遅いのですが、小指はとくに伸びの悪い方が多いのです。
爪の伸びは指先を流れる血液の量が影響するのですが、小指は指そのものが小さいため、流れる血液の量も少ないこと、さらに靴などで圧迫されることも多いことなどが関係しているものと思われます。
爪が変色していたり、変形している場合は爪の病気にかかっている可能性もありますが、爪の伸びが悪いだけではあれば病気ではありません。

「爪の三日月がはっきりしていると健康」というのは本当ですか?

爪の根本にある三日月型の白っぽく濁った部分のことを、医学的には「爪半月」と呼びます。
昔から、爪半月がなくなると病気だという説がありますが、爪半月がはっきり見える、見えないは生まれつきのようなもので、健康状態とは関係ありません。
ほとんどの人が親指の爪半月は大きく、小指側にいくに従って小さくなります。

爪の先が割れて二枚爪になっているのですが、なにが原因でしょうか?

二枚爪になる原因はいくつかありますが、全身性の病気としては鉄欠乏性貧血や甲状腺機能亢進症(バセドウ病)などをあげることができます。
また、マニキュアを落とす除光液(ネイルリムーバー)のなかで、アセトンなどが入った揮発性の高いものは爪の水分や油分まで奪い取ってしまうため、二枚爪の原因になることもあります。

爪の正しい切り方を教えてください。

爪はただ短く切ればいいというものではありません。
指先よりも1mmぐらい長めにしておくようにしましょう。
とくに足の爪を切りすぎて深爪にすると、爪の側縁が周囲の皮膚を傷つける、陥入爪(かんにゅうそう)になることがあります。
爪の先端の角をある程度残るように切って、爪の角が皮膚に食い込まないようにしましょう。

マニキュアは爪にとって悪い影響を与えるのでしょうか?

以前はマニキュアの色素が爪に残って、爪が変色することもありました。最近のマニキュアは爪に色素が残ることは少なくなりましたが、ベースコートを塗れば爪の変色を防ぐことができます。
マニキュアそのものが爪に悪影響を与えることは、ほとんどありません。
ただし、除光液(ネイルリムーバー)を頻繁に使うと、除光液のなかのアセトンという成分が爪の水分や油分を奪ってしまうため、爪の先が割れてくることがあります。
除光液を使ったときには、油分の多いクリームなどを塗って爪の乾燥を防ぐようにしましょう。

爪切りで爪を切るよりも、ヤスリで削るほうが爪にはいいと聞いたのですが、本当ですか?

ネイルサロンなどでは、爪切りは爪を傷めるのでヤスリで爪を削るほうがいいと勧めているようですが、爪切りでもヤスリでも爪への負担は変わりません。

爪は健康のバロメーターと言われますが、具体的にどんな爪になったらどんな病気の可能性があるのですか?

全身性の病気に伴う爪の変化としてよく知られているのは、バチ指とスプーン爪です。
バチ指は指先と爪が丸く膨らんで太鼓のバチのようになるものですが、肺や心臓の病気の疑いがあります。
一方、爪がスプーンのように丸くそっくり返るスプーン爪は、鉄欠乏性貧血や甲状腺機能亢進症の疑いがあります。また、爪がくもりガラスのように白く濁った場合には、肝硬変や慢性の腎臓病の疑いがあります。
このような全身の病気に伴う爪の変化は、手足の爪すべてに同時に現れるのが特徴です。

白癬菌というのは、どんな菌なのですか?

白癬菌というのはカビの一種で、私たちの皮膚を覆っている角層や爪、髪の毛などに寄生して病気を引き起こします。
白癬菌は皮膚の角層、爪、髪の毛などをつくっているケラチンというタンパク質を栄養にして生きているのですが、白癬菌が引き起こす病気のなかで一番ポピュラーなものは足白癬、いわゆる足の水虫です。
白癬菌はほかのカビと同様、高温多湿な環境が大好きで、一般に20~40度、60%以上の湿度を好みます。肉眼で見ることはできませんが、顕微鏡で100倍ぐらいにするとよく見えます。
白癬菌は足以外のところにも寄生しますが、白癬菌が寄生した場所によって病名が異なります。
爪につくと爪白癬(爪の水虫)、からだにつくと体部白癬(タムシ、ゼニタムシ)、頭につくと頭部白癬(シラクモ)、股につくと股部白癬(インキンタムシ)となります。

水虫菌(白癬菌)と薬の動画
爪が分厚くなって、ボロボロ崩れてくるのですが、爪白癬でしょうか?

爪が厚くなったり、変形する病気は爪白癬以外にもありますが、爪が崩れてくるということであれば、爪白癬の可能性があります。
長年、足の水虫があれば、さらに爪白癬の可能性が高くなります。

爪の写真で症状と病気を確認
爪白癬になると、爪はどのように変化するのですか?

爪白癬の症状はたいへん多彩ですが、もっとも多くみられる初期の症状は、爪の一部が白や黄色っぽく濁ってくることです。
時間が経つに連れて、濁った部分が拡がって爪が厚くなっていくのですが、厚くなった爪はもろくてボロボロと崩れ落ちるようになります。

爪が濁っています。爪白癬だと思うのですが、皮膚科に行けばすぐに診断がつくのでしょうか?

皮膚科では爪の一部を削って、そのなかに白癬菌がいるかどうか、顕微鏡検査で調べます。
この検査で白癬菌が確認されれば、爪白癬と診断されます。
この検査には10分ほどかかりますが、皮膚科専門医を訪ねればすぐに診断してもらえます。

爪の水虫の治療は皮膚科で
爪白癬はうつるのですか?

爪白癬にかかった爪からボロボロと崩れ落ちる爪のくずのなかには、白癬菌がくっついています。
家族のなかに爪白癬の患者さんがいると、家中のいたるところに白癬菌が落ちているため、これがまわりの人や自分自身のほかの場所にくっついて、水虫をうつす可能性があります。

爪は硬いのに、なぜ水虫の菌は爪のなかに入り込めるのですか?

爪は硬ケラチンというタンパク質でつくられていて非常に硬いのですが、水虫の菌はケラチンを溶かす酵素を持っています。
この酵素を出して爪を溶かしながら爪のなかに入っていくのです。

爪の水虫もかゆいのですか?

爪そのものには知覚神経が通っていないため、かゆみや痛みは感じませんが、爪のまわりがかゆくなることがあります。
爪の水虫の場合はかゆみよりも、むしろ痛みのほうが問題になります。
爪が厚くなって変形してくると、靴を履いたときに痛みが生じたり、ひどい場合には痛くて歩けなくなることもあります。

爪の水虫はどうやって治療するのですか?

水虫は抗真菌薬といわれるカビに効果のある薬で治療しますが、抗真菌薬には飲み薬と塗り薬があり、次のような場合に、効果が認められています。

薬屋さんで売っている薬で、爪白癬を治すことはできますか?

薬局・薬店で直接買うことのできる市販薬のなかに、爪白癬に効能・効果の取れているものはありません。
現在、爪白癬に効果が認められている薬はいくつかありますが、いずれもお医者さんの処方せんが必要です。

爪の水虫は飲み薬で治すと聞いたのですが、塗り薬では治らないのですか?

これまで、爪は硬いため、外から薬を塗っただけでは爪のなかにいる白癬菌まで成分がなかなか届くことがなく、主に飲み薬でからだの内側から薬の効果を爪のなかに浸透させて、白癬菌をやっつけていました。
爪白癬専用の塗り薬も発売されましたが、重症の場合や、足の水虫を併発している場合には、飲み薬で治すのが一般的です。

爪の水虫を治療したいのですが、内服薬の場合、副作用が心配です。どんな副作用があるのですか?

薬という名前がつくものには、飲み薬、塗り薬を問わず、副作用はつきものです。ただ、ひとくちに副作用と言っても、非常に重大なものから軽いものまでさまざまです。
たとえば、爪白癬の治療に用いられる内服の抗真菌薬の中には副作用として胃部不快感、下痢、吐き気、腹痛などの消化器症状や肝臓の機能を示す検査値であるGOT、GPTの上昇などがみられるものがあります。
たとえ、これらの副作用が現れたとしても、薬を中止すればもとに戻るものがほとんどです。
また、薬を飲む前はもちろん、飲み始めてからも定期的に血液検査などを行って、できるだけ副作用を未然に防ぐようにしています。
皮膚科専門医の指導のもとに服用すれば、過度に心配する必要はありませんが、なにか不安に思うことがあれば、お医者さんに相談してください。

爪白癬の飲み薬は誰でも飲むことができますか?

重篤な病気のある方、肝臓や腎臓の悪い方や重い貧血のある方、妊娠中の方などは飲むことができません。

爪白癬を治さない限り、足の水虫も治らないと言われたのですが、本当ですか?

本当です。爪白癬になると、爪が白癬菌の貯蔵庫の役割を果たすため、からだのほかの部分やまわりの人への感染源になる可能性があります。
そのため、たとえ足の水虫を治療しても、爪から絶えず菌が供給されるため、一時的には治ってもまた再発します。爪白癬を治療して白癬菌の貯蔵庫をなくさない限り、足の水虫も治らないというわけです。

薬屋さんで売っている薬で、爪白癬を治すことはできますか?

薬局・薬店で直接買うことのできる市販薬のなかに、爪白癬に効能・効果の取れているものはありません。
現在、爪白癬に効果が認められている薬はいくつかありますが、いずれもお医者さんの処方せんが必要です。