水虫のはなし
監修:帝京大学医学部 名誉教授/帝京大学医学研究センター 特任教授 渡辺 晋一 先生
水虫は、とてもポピュラーな感染症です。昔は「お父さんの病気」というイメージがありました。しかし、生活様式の変化に伴って感染の機会が増え、男女を問わず、また若い人にもよく見られるようです。今では日本人の5人に1人が感染しているという調査結果も出ています。恥ずかしがることはありません!専門医で診察を受けて、不快な症状を1日でも早くなくしましょう。

水虫の原因は?
水虫は医学的には足白癬を意味し、手の水虫は手白癬と呼ばれています。この白癬というのは、「白癬菌」というカビの仲間によって起こる感染症です。「白癬菌」は皮膚の表面に存在する角層に寄生します。ただし、毛や爪は皮膚の角層が変化したものですので、この部位にも寄生します。

水虫の病型分類
趾間型
最も多い病型で、足の第4番目(くすり指)と第5番目(小指)の指の間が白くふやけて皮がむけます。浸軟(角層が白くふ
やけた状態)が無い乾燥したタイプも見られます。
小水疱型
土踏まずや足のふちの一部に赤みをともなった小さな水ぶくれができます。
角質増殖型
足底の全体、とくにかかとの部分の角質が厚くなり、表面に細かい燐屑が認められます。
1年を通して症状はあまり変化しません。
水虫は治らないと
思っていませんか?
適切なくすりを根気よく塗り続ければ、水虫は完治します。水虫を放置しておくと、他の部分にも広がって治りにくくなるばかりでなく、周りの人にもうつしてしまいます。

まずは医師の診察を
受けましょう。
水虫かな?と思ったら、早めに専門医に診てもらいましょう。簡単な検査をすればすぐに水虫かどうかがわかります。
塗り薬の使い方
3つのポイント
塗り方のコツを覚えて、効率的に治しましょう。
- 1日1回、お風呂上りが効果的!
皮膚がやわらかくなっているので、くすりが浸透しやすくなっています。水分をきちんとふき取ってから塗りましょう。 - 患部より広めに塗りましょう。
症状が出ているところよりも広い範囲に白癬菌はいます。足の裏全体から、指の間まで、塗り残しなく塗りましょう。 - 毎日塗り続けましょう。
症状がなくなったように見えても、白癬菌は生命力がとても強いので皮膚の中で生きていることがあります。医師の指示があるまでは塗り続けることが重要です。

みんなで治しましょう。
家族に水虫の人はいませんか?
一人だけ治療して治っても、他に水虫のヒトがいれば、再感染の危険性は大!
家族全員で治療に取り組みましょう。

治ったら、
再感染を防ぎましょう。
白癬菌が付着しても、健康な皮膚の角層に侵入するまでは、1日ほどかかると言われています。つまり、 白癬菌が皮膚に長い間付着し続けて、高温多湿などの条件が整うと、水虫になるのです。清潔を心がけ、毎日石鹸で丁寧に洗い、しっかり乾燥させる習慣をつけましょう。

なぜ?塗っても治らない!
悪化した!
もしかしたら・・・?水虫と自己判断していませんか?水虫に似た症状には、「汗疱」(かんぽう)、「掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう」「接触性皮膚炎」などがあります。これらの病気に水虫の薬を 塗っても、効き目はありません。専門医で診察を受け、適切なくすりを処方してもらいましょう。
